不仲の兄弟の一方のみが親から生前贈与を受けること
Q.父の所有するアパートを長男の私に生前贈与したい。
弟がいるが、以前お金の貸し借りでトラブルとなり、ほぼ断絶状態だ。
盆や正月に実家に帰ってくることもない。
将来的に父の相続が発生した場合、弟と話し合いをしたくないので、生前贈与することを思い付いた。
父も自身の財産はこれ以上増やしたくないようなので、かなり乗り気だ。
アパートは土地が50坪、建物は築25年木造2階建ての60坪で単身者用が8世帯、現在満室稼働中である。
もちろん、贈与税と登記料がかかることは理解しているが、他に注意点はあるか。
A.生前贈与によって家賃収入が子に移転され、親の相続財産をこれ以上増やさない、というメリットがありますが、反面以下のデメリットがあります。
・相続の際、贈与を受けたアパートが特別受益による持ち戻し扱いとなり遺産分割の対象となる
・贈与後10年以内に相続になった場合、遺留分侵害額請求の対象となる
・持ち戻しにより相続税が発生する場合、支払い済みの贈与税を控除しきれない可能性がある
・持ち戻しにより相続税が発生する場合、小規模宅地等の特例が使えない
・子への所得移転に伴い、子の所得税率が上がる可能性がある
・不動産取得税が課税される
・登記費用中の登録免許税が相続時より高い
以上より、まず親の全財産を把握しシミュレーションをよく行ってから実施するべきと考えます。
また、親から子への所得移転がメインの目的なのであれば「土地は贈与せず建物だけを贈与」すれば費用は安く抑えられますし、弟と接触したくないことがメインの目的なのであれば、生前贈与によらず「公正証書遺言」でもいいですし、それら2つの併用でもいいと思います。
これらの場合もまた、選択を誤らないためによくシミュレーションすることが重要です。
しかし、今回のケースの一番の問題は、相続の際に兄弟間の仲が一層悪化する可能性が高いということです。
仮に特別受益による持ち戻しをしたとしても「生前贈与などオレは聞いてない。兄が勝手に仕組んだ」と、もはや怒りの気持ちが先行してしまうと修復不可能となり、どうしても話し合いが必要な局面にも応じてもらえず泥沼化してしまいます。
なので、生前贈与にしろ公正証書遺言にしろ、少なくとも親から「これこれこういう理由で自分の意志でやるんだ」と法定相続人全員に対し直接伝えるべきと思料します。
弟がいるが、以前お金の貸し借りでトラブルとなり、ほぼ断絶状態だ。
盆や正月に実家に帰ってくることもない。
将来的に父の相続が発生した場合、弟と話し合いをしたくないので、生前贈与することを思い付いた。
父も自身の財産はこれ以上増やしたくないようなので、かなり乗り気だ。
アパートは土地が50坪、建物は築25年木造2階建ての60坪で単身者用が8世帯、現在満室稼働中である。
もちろん、贈与税と登記料がかかることは理解しているが、他に注意点はあるか。
A.生前贈与によって家賃収入が子に移転され、親の相続財産をこれ以上増やさない、というメリットがありますが、反面以下のデメリットがあります。
・相続の際、贈与を受けたアパートが特別受益による持ち戻し扱いとなり遺産分割の対象となる
・贈与後10年以内に相続になった場合、遺留分侵害額請求の対象となる
・持ち戻しにより相続税が発生する場合、支払い済みの贈与税を控除しきれない可能性がある
・持ち戻しにより相続税が発生する場合、小規模宅地等の特例が使えない
・子への所得移転に伴い、子の所得税率が上がる可能性がある
・不動産取得税が課税される
・登記費用中の登録免許税が相続時より高い
以上より、まず親の全財産を把握しシミュレーションをよく行ってから実施するべきと考えます。
また、親から子への所得移転がメインの目的なのであれば「土地は贈与せず建物だけを贈与」すれば費用は安く抑えられますし、弟と接触したくないことがメインの目的なのであれば、生前贈与によらず「公正証書遺言」でもいいですし、それら2つの併用でもいいと思います。
これらの場合もまた、選択を誤らないためによくシミュレーションすることが重要です。
しかし、今回のケースの一番の問題は、相続の際に兄弟間の仲が一層悪化する可能性が高いということです。
仮に特別受益による持ち戻しをしたとしても「生前贈与などオレは聞いてない。兄が勝手に仕組んだ」と、もはや怒りの気持ちが先行してしまうと修復不可能となり、どうしても話し合いが必要な局面にも応じてもらえず泥沼化してしまいます。
なので、生前贈与にしろ公正証書遺言にしろ、少なくとも親から「これこれこういう理由で自分の意志でやるんだ」と法定相続人全員に対し直接伝えるべきと思料します。